• 遠藤卓也

コロナ時代のお寺のすがたをとらえた対談本『みんなに喜ばれるお寺33実践集 - これからの寺院コンセプト』


「自粛期間中、何をしていましたか?」


という質問をされたとしたら、自分は「お坊さんの声を聴いていました」と答えます。

仕事柄、平素よりお坊さんにインタビューをしたり、一緒に飲みに行ったりしていたけれど、それは「声を聴いていた」というよりは「会っていた」のです。

しかし残念なことに「会いに行けなくなってしまった」から、東京の自部屋からオンラインで全国のお寺につなぎ「声を聴かせてもらっていた」という表現がしっくりきます。


記録しておかなきゃという気持ちで

松本紹圭さんと一緒に『月刊住職』誌で連載しているコーナーが、『みんなに喜ばれるお寺33実践集 – これからの寺院コンセプト』というタイトルでこのたび書籍化されることになりました。

2019年に「仏教界のチャレンジャー対談」という趣向で始まった2ページの連載ですが、4ページに拡張されるタイミングでサポートするようになりました。2020年はじめに取材した栃木県宇都宮市 光琳寺さんの回からは私もインタビューに加わり、文字起こしや構成を担当しています。

その時に光琳寺で参加させてもらった「ラヂヲ体操&朝参り」では、地方のお寺の理想的なコミュニティのすがたを垣間見ることになりとてもワクワクしましたが、その日がまさにダイアモンドプリンセス号でのCOVID-19罹患が発覚した2月1日でした。


程なくして、取材に行けなくなってしまったのです。


あの頃、みんなが言ってた「やれることをやろう」という気分を思い出します。

インタビューはオンライン化。未来の住職塾もオンライン化。松本さんと「Temple Morning Radio」というポッドキャストもはじめました。

「お寺も大きく変わる時」という風を感じ取り、『人とお寺のあたらしいディスタンス』というWithコロナのお寺の場づくりにフォーカスしたインタビューシリーズを勝手にはじめたりもしました。記録しておかなきゃという気持ちで。


「コロナの自粛期間中、何をしていましたか?」という質問に、「お坊さんの声を聴いていました」と答える背景にはそういう事情があるのです。


チャレンジャーたちの実践報告に元気をもらえる

前置きが長くなってしまいましたが、『みんなに喜ばれるお寺33実践集 – これからの寺院コンセプト』には、日本の寺院におけるビフォーコロナからWithコロナへのグラデーションがぼんやりと浮かび上がっています。第1部と第2部の対談をまとめるにあたって「コロナ以前/以降でわけましょう!」と編集者さんに提案したほどです。

結果的にそういう分け方はせずに時系列もバラバラに収録しましたが、対談の空気感で以前/以降がなんとなくわかるはずです。主にお寺主体の活動を語っている対談が第1部。僧侶としての取り組みを話しているのが第2部という形でわかれています。


その対談の内容を受けて「みんなに喜ばれるお寺になるために」という観点から考察を述べているのが、私が担当する第3部。「仏教界のチャレンジャーたち」の最近の実践から学びとれることを横断的にまとめました(約30ページ書き下ろし)

松本さんの担当する第4部は「これからの寺院コンセプト」というタイトルで、お寺/僧侶のためのいくつかの方向性や可能性を示唆するような記事が詰まっています。松本さんのnote「方丈庵」の読者は、エッセンスをまとめて読める本として重宝するかもしれません。


『月刊住職』誌に掲載されたのは2〜4ページでも、その背後には当たり前ながら膨大な時間に及ぶ「声」が存在しています。声をしっかりと聴き取り、時流にあわせた文脈を踏まえて文章化する。3年も続ければ約300ページの本になるというわけです。

それは「声」を聴かせてくれたお坊さんたちのおかげであり、コロナ禍における私たちの「やれることをやろう」の実りとも言えるかもしれません。


お寺では「今」まさに役に立つ本だと思うので、多くの方に読んでいただけたらうれしいです。「実践集」ですから、未来を見据えた長期志向のチャレンジャーたちの活動に元気をもらえます。

(お寺さんではない方にも読んでいただけたら、もっとうれしい!)



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