誰彼通信 no.8 [2009/12/02]

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                            2009年12月2日発行
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 誰彼通信 [www.taso.jp]                        no.8
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前略

随分と寒くなってまいりました。誰彼通信8通目をお届けいたします。

誰そ彼スタッフは11月14日~15日にかけて行なわれた、温泉の音楽会『音泉温楽
』に行って、あったまってきました。サワサキヨシヒロさんがホストを務めて、
温泉好きのアーティスト達が勢ぞろい。とても楽しいイベントとなりました。

ご出演者の皆さんもとても素敵でしたが、ゆったりと楽しんでいるお客さん達、
そしてそれを温かくおもてなしする渋温泉の方々も素晴らしいと感じました。
あんなに良い温泉街は他にはあまり無いのではないでしょうか。
Vol.2が開催されるのであれば、また是非ともお手伝いしたいと思っています。

 >> 誰そ彼スタッフによる『音泉温楽 vol.1』イベントレポート
 http://www.quexpo.com/htdocs/mt/archives/000198.html


さて、私達の本分であるところのお寺の音楽会ですが、もう間も無く Vol.16が
開催されます!!ご出演者でもあり、今回の企画や準備にも大きく携わってくだ
さっているピアニストのsaaraさんと一丸になって、素敵な夜にしたいと意気込
んでおります。
まだ席の方若干余裕もございますので、是非ともご予約の上お越し頂けたら幸い
です。

                                草々


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 〓〓〓 I N D E X 〓〓〓

 ▽ 誰そ彼 Vol.16 開催間近!!

 ▽ ヒガン・えとせと・レビュー

 ▽ 天竺の音事情

 ▽ 午前3時の泥酔仏教放談 第8回:Loser

 ▽ ただ、歩くだけ ~徒歩連載~ (7) 私だけしか歩けない

 ▽ タソガレ往来紳士録 NO.008『 火車 (かしゃ) 』

 ▽ サウンドブック 第5回目:音泉温楽での音響プランニング

 ▽ 曲がり角の掲示板 (2009年11月)

 ▽ たそがれポスト

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 ■ 誰そ彼 Vol.16 開催間近!!
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『お寺の音楽会 誰そ彼 Vol.16』- Winkler/Saara Trio Double Concert Tour -

日時:2009年12月12日(土)17:30~21:00
場所:梅上山 光明寺(東京 神谷町)
   http://www.komyoji.org/
料金:1000yen with 1drink

※ご予約受付中!!
 http://www.taso.jp/test/contact/contact.php?event=vol16
 - ご予約数が定員に達し次第、受付を終了させて頂きます。
 - 定員に達しない場合は、当日券もご用意致します。

出演:
[Live]
 ・Winkler (from Sweden)
  http://www.myspace.com/thisiswinkler

 ・saara trio
  [saara(p),Seigo Matsunaga(Ba),Ola Hultgren(Dr) from Winkler]
  
  saara(piano)
  http://soundcloud.com/saara
  
  Seigo Matsunaga(Bass)
  http://www.myspace.com/seigojazz
  
  Ola Hultgren(Drum) from Winkler
  http://www.myspace.com/ohultgren

[法話]
 ・杉生慶値(浄土真宗本願寺派)
[選曲]
 ・busse posse DJ's
[PA]
 ・福岡功訓(FLY_SOUND)

[Drink]
 ・神谷町オープンテラス
  http://www.komyo.net/kot/
[Food]
 ・青江覚峰 from 暗闇ごはん
  http://www.higan.net/blog/kurayami/

more info.
  http://www.taso.jp

【プロフィール】

Winkler: ウィンクレア - Koop ツアーバンドでお馴染みのジャズ・ドラマー
Ola Hultgren 率いるインプロポップバンド初の来日! -

Ola Hultgren(Dr) : スウェーデン・ストックホルム在住のドラマー。世界各
国のジャズフェスティバルでの演奏やKOOP、LONEY DEAR、THUS:OWLS など、世界
で活躍するメジャーバンドでライブ活動を行っている。

Erika Alexandersson(Vo) :スウェーデン在住のシンガー。繊細かつオリジナ
リティー溢れる歌声は、スウェーデンのノラジョーンズ、ビョークとも称される
。ベース・プレイヤーJosef Kallerdahl とのユニットJosef och Erika にてリ
リースした2 枚のアルバムはヨーロッパで話題となり2007 年スウェーデンのグ
ラミー賞にノミネート。日本でも、IRMA RECORDS JAPAN から"eRika" 名義で
アルバムをリリースするなど、注目のスウェディッシュ・ポップス・シンガー。

Andreas Hourdakis(Gr) : スウェーデン在住のギタリスト。オルタナティブ
・ジャズ・レーベルRR-R よりバンド「NYFORS」でデビュー。現在は、Jeanette
Lindstrom のアルバム "Attitude & Orbit Control" の録音や、スウェーデン
のオルタナティブ・バンド「Desert Soul」のメンバーとして各国のジャズフェ
スティバルやMTV、Stockholm Fashion week などで演奏を披露するなどスウェー
デンのジャズやクラブシーンで活躍している。

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Saara Trio: サーラ・トリオ

Saara(Pf) : 1979 年生まれ、埼玉出身。中学生の時、ヒップホップカルチャ
ーの洗礼を受け、高校中退と同時にMPC2000 を購入。トラック制作を開始する。
19歳、誕生日の翌日に突然「ピアノを弾こう」と思い立ち1日18時間の練習を開
始する。作曲とライブスタイルはピアノトリオの他にも、ソロピアノ、チェロ・
ピアノのデュオ、Macbook と尺八・ピアノのトリオ、Ableton Live とシンセサ
イザーのソロ演奏など、多岐にわたっている。現在は「素直なピアノ音楽」を追
求。音楽理論/ 奏法など全て独学の雑草ピアニスト。

Seigo Matsunaga(Bs) :1984 年生まれ、福岡出身。高校生の時にリチャード
・ボナの音楽を聴き、エレクトリックベースを始める。2002年、バークリー音楽
院のサマースクールに参加。2003 年、NY にてMatthew Garrison に師事。2003
年秋、故Niels-Henning Orsted Pedersen に弟子入りし、デンマークにてコント
ラバスを学ぶ。2005 年よりスウェーデン在住のコントラバス奏者、森泰人氏と
共にScandinavian Asian Connection Concert の開催を始め、プロデュースを行
っている。Michal Stadnicki、Zoltan Kovats,Hein Van de Geyn 各師に師事。
エド・シグペン(Dr)、デイブ・リーブマン(Sax)、ラーシュ・ヤンソン(Pf)、
アントワン・エルヴェ(Pf) などと共演。現在は、Amanda Tiffin、Sebastiaan K
aptein と共に自己のトリオ「a.s.k」を中心に南アフリカと日本を拠点に活動を
行っている。

Ola Hultgren(Dr) : プロフィール同上。ベーシスト松永誠剛とピアニストSa
ara の希望により今回、特別にトリオ・ドラマーとしてバンドに参加。


☆ Winkler、Saara Trioのツアーフライヤーが出来ました!!
 http://asiancape.net/data/concert_tour_web.pdf

 

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 ■ ヒガン・えとせと・レビュー(2009年11月)
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誰そ彼スタッフ達による、なんでもレビューのコーナー。

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[Comic] 入江亜季・著 / 群青学舎

いま最も美人を描くのが上手く、こころ震わされる漫画家による短編集。
全4巻。すべて良いですが最もしびれたのが第3巻所収の『薄明』。
主人公の青子が病に伏せる万里雄(まりお)の影響で読書を覚え、世界に触れ、
知性に目覚める瞬間の表情のコマ、素晴らしいです。
世界のことをもっと知りたいと願うが自身の命も長くはないと悟っている万里雄
。彼はまた、どんな読書よりもどんなできごとよりも青子の表情が美しいことも
知っている。手を伸ばす。つないだ手と手を行き交うものはいったい何?
素振りで教えてもらうこと、素振りで教えてあげられることの素敵さよ。あらゆ
る感情を目や襟足や姿勢で完璧に表現できる確かな筆力に感服しています。
先日サイン会にまで行ってしまい、緊張のあまり何も言えなかったです。必読。
(齋藤仁昭)


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[Book] 小倉千加子・著 / オンナらしさ入門(笑)

理論社のよりみちパン!セからの一冊。
みなさん、フェミニズムって、どう思います。
まあ、大方の殿方は、あーめんどくセーな、でしょうね。
ご婦人方、実はちょっとだけ、興味ありませんか?ありますよね?
そんなご婦人達におすすめしない!一冊です。
表題の(笑)なんて、嘘嘘、全く笑えない。
パン!セシリーズはヤングアダルト新書ですから、ローティーンからお読みいた
だけるよう、優しい文章で書かれてはいますが、内容は、残酷。
女に生まれたことが、非常に恐ろしくなってしまいます。
知らぬが仏、って、言いたくはないけれど...。
ただ、救いはあります。
「あなたは「男」ではないのだから、「勝つ」ために生きるのではなく、自分を
「養育する」ために生きられるのです。「女」に生まれてほんとによかったです
ね。」
これを素直に受け止めたい...(杉生美紀)


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 ■ 天竺の音事情 文・松本圭介
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光明寺僧侶の松本です。誰そ彼をしばらくご無沙汰してますが、実は今年1月か
ら妻子を連れて北海道の実家に帰って受験勉強してました。おかげさまでやっと
合格通知を受け取り、来年からインドへ1年間留学することになりました。
僧侶がインドへ留学といえばたいてい仏教を学びに行くものと相場は決まってい
ますが、いろいろあってISBというビジネススクールに行くことになりました。
その辺は長くなるので詳しくは以下のURLの記事をご覧下さい。

 >> お寺の未来
 http://www.higan.net/blog/master/


さて、先月は面接のためにインドへ行ってきましたが、相変わらず街全体に漂う
独特の「匂い」と「音」が強烈にインドを感じさせてくれました。カレーとお香
と土ぼこりと牛糞と体臭が入り交じった匂いに慣れてしまうと人によっては無臭
の日本が物足りなくなるかもしれません。そして、音。インド人はたいていお祭
り好きなので、人が集まるところには必ず音楽が流れています。そして日中は暑
いし日焼けするということでインド人は日中よりも夜に活動することを好み、夜
中まで音は止みません。学校の学食も夜7時半にならないと開かないくらいです

テレビではMTVなども見られますが、インド人は若い人でも、昔ながらの顔の濃
い男性と声の甲高い女性がダンスしながら交互に歌い合うデュエットみたいなイ
ンド形式が相変わらず好きなようで、最新の曲でもそういうのが多いです。
ところで、インド人がテレビをつけるときはほぼ例外なく大音量です。そして都
市では携帯も日本並みに普及しているのですが(最近はドコモも進出してます、
通話一分1~2円)、みんなバスでもデパートの中でも着メロは最大音量です。
なぜなのかと思ったら、面白い記事を見つけました。「インド人はせっかくお金
を払ってダウンロードした着メロを一人でも多くの人に聞かせてあげたいと思っ
ている。だから着メロの大音量は迷惑どころか彼らの好意であり、音楽のおすそ
わけなのだ」というのです。なるほど、相手への思いやりも所変われば全然違う
ものですね。

家族でインドに住むということがどんなことなのか未だに想像もつきませんが、
現地で面白いことを発見したら、また報告したいと思います。ナマステ。


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 ■ 午前3時の泥酔仏教放談 文・杉生値
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〓〓〓 第8回:Loser 〓〓〓

♪Soy un perdedor
I'm a loser baby, so why don't you kill me?♪(Loser/BECK 1993)

はじめてこの曲を聴いたのは大学生の時でした。友人のオンボロ軽自動車で、午
後の授業をサボッてドライブしてた時、その友人がカーステレオで聴かせてくれ
ました。英語が駄目な私には歌詞はほとんど聴き取れなかったけれど(というか
今対訳を読んでも意味不明なのですが)けだるいギターのループに妙に心が高揚
したのを覚えています。そして唯一意味が分かったサビの歌詞。

「俺は負け犬だよ、さあ、さっさと殺せば?」

世間のベクトルからすれば、どうせ俺は負け犬かもしれない。だけどそれがどう
した?負けてこそ見える世界があるんだ。そしてそっちの方が、あんたらのより
百倍面白いんだぜ!
時代の空気もあったのでしょう。私はベックの敗者の名乗りを、そのまま高らか
な勝者宣言と解釈しました。そして彼は一瞬にして私のヒーローになりました。

話はがらっと変わって、「歎異抄」という親鸞聖人エピソード集にこんな話があ
ります。
聖人は長く関東で布教をしていたのですが、晩年は京都に戻り執筆活動に励みま
す。そこに関東からかつての愛弟子たちが訪ねてきます。弟子たち曰く「親鸞聖
人が去った後、聖人の教えを巡ってさまざまな異説が説かれ、信者たちが混乱し
ている。挙げ句の果てには聖人が自分たちに秘密にしていた教えがあるという噂
まで流れる始末。聖人がそのような隠し事をされる訳はないと思うが、念のため
真偽を確かめに来た」とのこと。
弟子たちの問いに親鸞聖人は答えます。「念仏以外に往生する方法など知らない
。私は師匠の法然聖人の仰せの通り、念仏して阿弥陀如来にたすけられるという
教えを信じるのみ。いや、実のところ念仏で浄土にいけるかどうか、確証はない
。もしかして法然聖人に騙されていて、念仏することで逆に地獄へ行くはめにな
るかもしれない。でも、後悔はしない。なぜなら、念仏以外の修行で仏に成れた
はずなのに、念仏したばかりに地獄へ行ったというのなら後悔するかもしれない
。だけど私は・・・」つづけてこう言います。

「いづれの行もおよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし」

♪ジャン ジャン ジャンジャ ジャーン!♪
「地獄は一定すみかぞかし」というフレーズに触れた時、私の頭の中にはLoser
のギターリフが響き渡りました。もともと地獄行きのこの身ゆえ、念仏以外他に
道はない。そう言い切る親鸞聖人にネガティブな感じは一切なく、むしろスター
をゲットしたマリオ並みの無敵感が漂います。思えば親鸞聖人は9歳で仏門に入
り、以降20年比叡山で修行に励みましたが、結局悟りを得ることはできず失意の
内に山を降りました。言わば仏道におけるLoserだったのです。しかしその過程
で自身の煩悩の根深さを知り、そして法然聖人を通して、煩悩を抱えたまま救わ
れる念仏の教えに出会ったのでした。
自身の姿を徹底的に見つめ、そこに地獄を認めたがゆえに気づくことのできた本
当の道。これをオルタナティブと言わずして何と言いましょうか。
ああ、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏!

合掌


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 ■ ただ、歩くだけ ~徒歩連載~ 文・斎藤遥
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〓〓〓 (7) 私だけしか歩けない  〓〓〓

今回は、ただ歩くだけ、というより、歩くのはただ私だけ、というような、歩き
ながら頭の中に広がってきた考え事を書いてみます。

歩きながら、私がこの足を動かさなければ前に進まないのだなあ・・・と、ふと思
う事があります。もちろん当たり前の事実ですが、移動という観点でみればバス
や電車や飛行機やなんかに乗っているときには、自分の足を動かさなくても距離
は進んでいきます。昔、いろんな乗り物がなかった時代には、移動のメインは歩
き、自分の足で進むことだったのでしょうが、現代では移動手段はいろいろで、
歩きだけで日常の移動が済んでいるひとは少ないと思います。

自分の足で歩き出した、とか、これから一緒に歩んでいこう、とか、歩くことは
人生を生きることに例えて使われることがあります。確かに、生きることは道を
進んでいくようなイメージがありますね。それは特に歩いていたり、たまに走っ
ていたりするイメージであって、自転車や車なんかの乗り物で進むイメージでは
ない気がします。

歩く、というのは移動手段が様々な最近では、距離の移動の意味合いよりも、生
きるとか時間を過ごすとか、そういった意味合いの方が強くなってきているのか
もしれません。散歩、というのも、距離の移動を求めるものでなく自分の足で動
いてこそ見つけられる何かを探していたり、考え事をしたりイメージを膨らまし
たり、目的なく歩き散らしたりすることを指しています。

歩くことに関しては、自分で足を動かさなければ進んでいきませんし後戻ること
もできません。それがよく生きることに例えられるのは、本当はみんな自分の人
生はすべて自分で選んでいてすべて自分が行うしかないことを心の中のイメージ
でわかっているからかもしれません。自分の代わりに誰かに歩いてもらっても自
分はまったく進まないですし、誰かの代わりに歩いてあげたくても他の人の歩を
進めることはできません。誰かの人生を代わりに生きてあげることも私の人生を
代わりに生きてもらうこともできません。それが辛いけど面白いのだし自由とい
うことなのかな、と考えたりします。

でも、代わりに進むことはできないけれど、背中を押したり、手を引いたり、呼
んでみたりすることができることもあるし、誰かにそうしてもらって自分が進め
ることも多いです。そういうことがある中で、自分の足でしか自分は歩く事がで
きないことをきちんとわかっていることが大人の歩き方なのかな、と考えたので
した。


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 ■ タソガレ往来紳士録 文・遠藤卓也
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 モノゴトの輪郭が曖昧となる黄昏時、夕闇に紛れて通りを行き来するあやしい
 モノ達に「誰ぞ彼?」と声をかけてみたとしたら...

〓〓〓 NO.008『 火車 (かしゃ) 』 〓〓〓

「火の車」の由来をご存知だろうか?『菩薩本行経』には、「火車」という猛火
の燃える車が罪人である亡者を乗せて地獄へ運ぶ、とあります。亡者が火車の火
炎で苦しめられ地獄行きになる事から、家計や生計のやりくりが苦しい事をそう
言うようになったそうです。

この「火車」、猫を正体とする妖怪としても全国的に伝えられており、江戸時代
の絵師 鳥山石燕の『画図百鬼夜行』でも擬人化した猫のような姿の妖怪が女性
を抱えている姿が描かれています。

しかし元々を辿ると、冒頭に挙げたような仏教説話に行き当たります。光明寺の
ある神谷町からも程近い、浄土宗の増上寺の住職三世 音誉(おんよ)上人にま
つわる、とあるストーリーをご紹介しましょう。

1479年7月2日、増上寺では施餓鬼会が行なわれ、本堂には多くの人々が集ってい
ました。音誉上人は『獄火来現』という題で説法をされ、「誰でも臨終の間際に
は、幽鬼が "火の車" を引いて迎えに来る。これは断れないから、極楽往生を願
う者は生前のうちに善行を積み正しい信仰念仏を申すがよい。」と語りました。
これを聴いた大衆は、俄かに "火の車" なる存在を信じられなかったが、上人は
いきなり次のような事を告げました。「今や私の命は尽きようとしている。もう
皆さんとお別れしなければならない。」静かに挨拶をした後、辞世の和歌を詠み
、扇をあげて空を指し招きました。するとたちまくたなびく黒煙とともに三匹の
幽鬼に引かれた火の車がやって来たのです。上人は合掌して静かに火の車に乗る
と、いずこともなく去って行きました。

この不思議な現象を見た人の中には、全く違う事を言う人も居て、とある人物は
「音誉上人を迎えに来た乗り物は火の車ではなく、仏様が乗る宝蓮台のようなも
ので、使者たちも幽鬼ではなく天童のようであった。五彩の雲にまかれ、微妙な
る音楽が鳴るうちに西方へ去って行った。」とも語っているのです。

この違いについては、当人が来世を信じるかどうかにより、火車の姿は違ったも
のに見えるとされています。
結局、この時この場所で、何か不思議なことが起きた、またはみんなに言えない
ことが起きたのは確かです。その不思議な "コト" に皆が納得するための説明付
けとして、火車という "モノ" が引っ張り出されたとも考えられると思います。
妖怪にはそういった、共同体における説明装置としての機能があるのです。

この、恐らく "来世を信じる人" が見たであろう、美しい光景。そこに流れてい
た 「微妙なる音楽」 とは、どんな音楽なのでしょうか?
とても聴いてみたいという気がします。


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 ■ サウンドブック 文・福岡功訓 (FLY_SOUND)
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〓〓〓 第5回目:音泉温楽での音響プランニング 〓〓〓

あっと言う間に今年も12月を迎えめっきり寒くなって来て
もう野外をやりたく無いPAの福岡です。
先月は11月14、15日と長野県は渋温泉 音泉温楽にPAで行ってきました。
私は、ほぼ14日だけでしたが。

写真が載せられないので来た人にしか伝わりづらいとは思いますが
このイベントでの音響周りについて少し書きたいと思います。

まずは14日の会場臨仙閣。
当初、横長に会場を使う予定でしたが、直前になって縦長に会場を使う事になっ
たので当初使う予定だった 誰そ彼 スピーカーのターボTXP-520(2way)から田口
製作所のラインアレイスピーカーCMF-1312と同じく田口製作所の30cm2発入りの
SUB-LOUセットで行く事にしました。
まずその方が音が減衰せずに遠くまで飛ばせる事と音質が自然である事でアンビ
エントなどどの相性がとても良いと思ったからでした。
そして、ターボのTXP-520は、モニターとして使用しました。このスピーカーは
、HIを再生するツイーターが金属ではなくシルクドームで出来ているのでまった
くHIが痛く無いのが特徴です。その代わり遠くに音が飛びませんがステージ自体
が横幅4m位だったという事もありまったく問題ありませんでした。
そして、Barフロアには、田口製作所のREXスピーカーを2発スパイス的に設置し
ました。このスピーカーは、無指向性スピーカーなので低い所と高い所にそれぞ
れ置いてBarフロアを包む様に音を出しました。

そして15日の会場 金具屋 大広間
ここも、かなりの縦長スペースだったので田口製作所のCMX-1312とSW-3802のセ
ットと一つの面に4つのスピーカーの入った6面体スピーカー使用しました。
CMX-1312だけでも大丈夫そうでしたが会場真ん中より後方の方に6面体スピーカ
ーをスパイス的に設置しました。結果かなり良い感じに後ろまで音が飛んでいた
と思います。ちなみに臨仙閣と金具屋のラインアレイスピーカーの違いについて
。気づいた方は、いないとは思いますが、臨仙閣で使った方のスピーカーのユニ
ットはタイコの様に平面で、金具屋で使った方は通常のすり鉢状のスピーカーユ
ニットが付いたモデルでした。
平面のモデルの方が音の反応速度が早く本当にタイコ物などを再生するとかなり
生々しくなります。

と言った感じで心地よい自然な音場に気をつけた2日間でした。


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 ■ 曲がり角の掲示板 (2009年11月)
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◇◇ 少々口の重いTwitter、はじめました。 ◇◇

誰そ彼もTwitterのアカウントを取ってみました。今の所、やや寡黙なTwitterで
すが、開催のお知らせなどを早めにお知らせできる手段となりますので、こちら
もどうぞひとつ御贔屓にお願い致します。

 >> 誰そ彼 Twitter
 http://twitter.com/tasogarecords


◇◇ 第三回妖怪合同展『今昔抄 傘 (こんじゃくそう・さん)』開催中!! ◇◇

そんなTwitter誰そ彼アカウントのアイコンとしても活躍中の新生誰そ彼ロゴ!
みなさんご覧頂けましたでしょうか?このかっこいいロゴをデザインしてくださ
った妖怪絵師の風眠庵(ふうみんあん)こと、加藤圓正さんの作品展が開催され
ています!
加藤さんは他にも、誰そ彼 Vol.15のチラシや、同じくVol.10のフライヤー用に
琵琶法師のイラスト等、誰そ彼関連のアートワークを手がけてくださっています
。今回の合同展では、加藤さんの魅力的な妖怪版画の数々と共に、パートナーの
田中屋さんの妖怪シルバーアクセサリーも展示されています。
興味のある方は是非足を運んでみてください。

 第三回妖怪合同展
 『今昔抄・傘』~コンジャクソウ サン~
 風眠庵×田中屋

【日時】 2009年 12月1日(火)~12月6日(日)11:00~19:00
【会場】 「千駄木空間」 03-6904-3911
     東京都文京区千駄木 2-49-8
     http://www.sendagi-kukan.com

 >> 風眠庵.NET
 http://www.foomin.net/


 [風眠庵 誰そ彼ワークス]

 >> 誰そ彼 ロゴマーク (1)
 http://www.taso.jp/taso_clear_300.jpg

 >> 誰そ彼 ロゴマーク (2)
 http://www.taso.jp/taso_en.jpg

 >> 誰そ彼 Vol.15 チラシ
 http://www.taso.jp/flyer_web.html

 >> 誰そ彼 琵琶法師
 http://www.taso.jp/pages/about.html


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 ■ たそがれポスト
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当メルマガや誰そ彼イベントに関するご意見ご感想ご要望、企画案や小ネタまで
何でも結構ですのでお便りお待ちしております。

※メールフォームが故障中につき、下記メールアドレスまでお送り下さい。

master@taso.jp


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【編集後記】今号は誰そ彼の発起人である、光明寺の松本君の文章を掲載しまし
た。来春からインドで暮らすという事で、現地からの音楽レポートを期待してい
ます。それでインドの良いアーティストを誰そ彼に紹介してくれたらいいな。
そういえば『仏教放談』で取り上げられている"Loser"はシタールをサンプリン
グしているせいかインドっぽいイメージもある曲ですね。
この頃、海外からのご出演者が多いというのもあり、誰そ彼英語ページも準備中
です。僕が日本語で下書きした「誰そ彼とは?」の文章を松本君が翻訳してくれ
たのですが、この頃離れていたとはいえ流石は誰そ彼の発起人。誰そ彼の雰囲気
や楽しみ方をきちんとおさえた良い翻訳をしてくれました。近日公開予定です。
(遠藤卓也 - Loserを聴きながら)
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※この誰彼通信を気に入ってくださった方は、ご友人やお知り合いにもご転送、
 ご紹介して頂けましたら幸いです。
※お名刺を頂いた方にもお送りさせて頂いております。突然の配信をお許しくだ
 さい。
※誰彼通信の登録・解除は自由です。配信の登録・解除・送信先メールアドレス
 等の変更は、お手数ですが master@taso.jp までご連絡ください。
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